のどか

  • 2007/08/27(月) 22:06:03




よく実った稲穂が揺れ、トンボとコウモリがその上を漂う。

大きなオレンジ色の月が、それを見ている。

もの悲しい水色の空。

これ以上何もいらない、満ち足りた風景。

その風景を切り裂いて、鉄の塊が走る。飛ぶ。

ちっちゃい部品が抜け落ちただけでも簡単に炎上する、鉄の塊が。

そんなに脆弱な鉄の塊に、人々はポイッと命を預けて、乗り込んでいく。

そしてあんなに速く走っている。

あんなに高く飛んでいる。

オレンジ色の月が、黙ってそれを見ている。